参考文献の引用・参照 > 引用・参照の仕方 [科学技術論文の書き方]

科学技術論文の書き方
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参考文献の引用・参照




引用・参照の仕方

Quotation と Citaion

研究はピラミッドであることは別項で述べた. そのピラミッドの自分の石の下の石をきちんと明示することは,
  1. 学術ピラミッドでの自分の位置の明示
  2. 先人の功へのねぎらい
  3. 既知である事項の冗長な再掲の省略
という意義があるだろう. 形式的に重要なのはもちろん (1), (3) である. この明示を参考文献の引用・参照というが, 主として次のような二種類の引用・参照方法がある.
  • 【狭義の引用】: quote, quotation
    人文科学など,論文・書籍等の内容の一部を文脈・セマンティクスの正確さを重視して参照するためには「一字一句違わずに」再掲することが必要である. 文字通り quote,括弧等で直接話法的に言及し,これが本来の「引用」である. 従って,英文論文等を引用する場合の引用ケ所はその原文のまま書く必要がある. quotation では引用される文献の目録を「引用文献」と標記し,引用ケ所ページも明記することが通例である.
  • 【広義の引用】: cite, citation
    特に自然科学系では文脈・セマンティクスの正確さは無用であり,そこにある論理的事実が重要である. 従って,一字一句違わずにそのまま書く必要性は全くない. このため,しばしば引用というよりは参照といわれる. citation では引用される文献の目録を「参考文献」と標記することが通例である.
次に二種類の例を使用して quotation と citation を対比してみる.

quotation が意義を持つ例
川端は文献[1]において「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」と記している.
  :

引用文献
[1] 川端康成: “雪国”, 創元社 (1948)

川端は文献[1]において雪国との国境にはトンネルがあるとしている.
  :

参考文献
[1] 川端康成: “雪国”, 創元社 (1948)

citation が意義を持つ例
Rosenfeld らは文献[1]において画像を “Informally, a picture is a flat object whose brightness or color may vary from point to point.” と説明している.
  :

引用文献
[1] A. Rosenfeld and A. C. Kak: “Digital Picture Processing”, p. 2, Academic Press (1976)

Rosenfeld らは画像を位置ごとに明るさや色が変化する平面[1],と説明している.
  :

参考文献
[1] A. Rosenfeld and A. C. Kak: “Digital Picture Processing”, Academic Press (1976)

どうだろうか. このように対比すると,特に人文科学系では quotation が意義を持ち, 自然科学系ではquotation は不要・冗長であって citation に意義があることがよく判るであろう. 本文は主として自然科学論文を対象としているので引用とは citation を意味することを通例とする.

引用・参照の方法

研究者名の後ろで citation する方法と, 研究内容の名詞句の後ろで citation する方法があるが,どちらかというと後者が良い. なお,研究者名に肩書き,敬称 (教授,博士,さん,氏) は不要である. 研究者名の表記については,和文論文では和文文字で姓,英文論文では欧文文字で姓を書く. たとえ,引用する英文論文の著者が日本人で,たまたまその漢字表記を知っていても,欧文文字ローマンアルファベットで姓を書くこと. 著者が複数の場合は,「岡田ら」「Okada ら」とする.

  • × 曖昧な数式の意味理解のために,経験辞書・感性辞書による方式が提案されている.
      (引用を全くしていない)
  • × 曖昧な数式の意味理解のために,Okada らによって経験辞書・感性辞書による方式が提案されている.
      (文献が明示されていない)
  • △ 曖昧な数式の意味理解のために,経験辞書・感性辞書による方式[1]が提案されている.
      (研究者名が書かれていない)
  • ○ 曖昧な数式の意味理解のために,Okada ら[1]によって経験辞書・感性辞書による方式が提案されている.
  • ◎ 曖昧な数式の意味理解のために,Okada らによって経験辞書・感性辞書による方式[1]が提案されている.

文献の番号は,その引用側論文における引用の順に通し番号となっていること. また,番号で引用する場合と,シンボルで引用する場合がある (LaTeXではどちらも使用できる). 学会論文は前者が圧倒的多数であるが,後者のスタイルをとる論文誌もあるので注意せよ. 卒論・修論・博論では,参考文献リストの整理が大変であるので,後者のスタイルにすると都合が良い.

  • ○ 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法[2]を提案した.
  • ○ 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法[Okada96]を提案した.
また,文献番号の大きさ、すなわち通常配置か上付き位置か、にも気をつけたい.
  • △ 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法[2]を提案した.
  • ○ 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法[2]を提案した.
  • ○ 文書理解の一基本手法として,Okada らによる文献[2]では濃度値モルフォロジ法が提案されている.
  • × 文書理解の一基本手法として,Okada らによる文献[2]では濃度値モルフォロジ法が提案されている.
引用番号の表記上付きの場合はは (1) のような丸括弧と [1] のような鍵括弧の両方式があるが, 本文インラインの場合,数式番号との区別のため丸括弧は避けた方が良い. 著者名シンボル等の場合は鍵括弧を使用する.
  • ○ 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法[2]を提案した.
  • ○ 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法(2)を提案した.
  • ○ 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法[2]を提案した.
  • × 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法(2)を提案した.
  • ○ 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法[Okada96]を提案した.
  • × 文書理解の一基本手法として,Okada らは濃度値モルフォロジ法(Okada96)を提案した.
ただし,実際問題としてはこれは掲載論文誌の編集ルールによって異なる.

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